島本和彦主催[HOOP HYSTERIA]バスケットボールファンクラブ
吉川 哲彦の「だむだむ探検隊」

世界選手権に行ってきました!!〔2006.9.13〕

この夏、4年に一度のビッグイベントが開催されました。テレビCMも結構流れていたので、言うまでもないですよね。バスケ界で最も権威のある大会、FIBA世界選手権です。4年に一度といっても、日本開催に話を限れば100年に一度(たぶん)。せっかく世界のトッププレイヤーが集まるんだから、もし見に行かなかったら後悔しすぎて発狂するかも。そんなわけで、行ってきました。

と、見に行くことだけは決めていたのですが、問題はいつ行くか。そりゃできるもんなら全日程会場に足を運びたいですがそういうわけにもいかず、グループラウンドは断念。さいたまスーパーアリーナでの決勝トーナメントに入ってからということにしました。
もし日本が決勝トーナメントに残れば日本戦の日と思っていたのですが、日本はグループラウンド敗退。というわけでその日は自分の都合を優先させました。でもニュージーランド(日本と同じ組の4位)のウォークライも見たかった(泣)。
そんなこんなで選んだのは29日の準々決勝1日目。カードはスペイン対リトアニア、アルゼンチン対トルコです。あまのじゃくなのであえてアメリカ戦は回避(爆)。ということで、当日コンビニでチケットを入手してさいたま新都心へ出発しました。今回は取材ではなく、一般客として会場入りするんですが、代々木開催のJBL(1000円)に慣れている身としては6000円は高い。というか普通に考えても、いくら世界選手権とはいえ自由席でこの値段って、「金のない奴は見に来るな」ってことでしょうか。
とりあえずそれはおいといて、試合開始の30分ほど前にさいたま新都心駅に到着。電車を降りるとやはり同じように改札に向かう外国人がチラホラ。改札を出ると、チラホラどころではありません。夫婦らしき2人組から数十人の団体まで、もう外国人だらけ。それほど、このイベントは世界中から注目されているのです。ただしここはバスケ後進国・日本。ここから会場にいた約6時間の間に、日本のバスケが抱える問題点をいろいろ目の当たりにすることになります。

買ったチケットは自由席のため、上のほうまで階段を上って会場入り。持ち物検査は結構テキトーでした。入ってすぐ両脇に売店があったので食べ物を見てみましたが、これといったものはなく値段も高め。やはりスポーツ観戦の際は、飲み物と食べ物はあらかじめ用意しておいたほうがいいですね。
で、「一応他の売店も見てみるか」と廊下を一周したんですが……その他は全部閉店。っていうか、そもそも人がいません。決勝やアメリカ戦のある日ならまた違った状況だと思いますが、自由席はあまり人が入らないんですね。だから売店も開いていないのです。中に入ってみたら、案の定自由席はガラガラ。観客は、入場口を入ってすぐのエリアに集中していました。
それにしても大きいアリーナです。世界選手権をやるには十分すぎるくらいですが、それほど立派なアリーナを残念ながら生かせていません。自由席だけでなく指定席も空席が目立つのです。「想定の範囲内」というヤツではありますが、かねてからファンの間で話題になっていた「PR不足」が、現実として目の前に現れたわけです。チケットの値段のわりにはよく入ったほうだという気もしますが、あれじゃバスケに興味のない人は来ませんよ。この機会にバスケの認知度を高めたいという意識はないんですかね?

そんなことを思っているうちに時間は午後4時半、第1試合のスペイン対リトアニアが始まりました。両チームとも母国からの応援団がすごいですが、ゴール裏に陣取った2〜300人くらい(?)のリトアニアサポーターは特にノリノリです。Legendの観客でもあんなに大騒ぎしてるかどうか。
でも、それ以外はとっても静か。日本人の観客はただ観ているだけです。ま、これも予想通りというか、いつも通りというか……。なんせ、コート上の選手やコーチの声もしっかり聞こえてくるくらい(もちろん何を喋ってるかはわかりませんが)。一番上のほうの席に座っているのにもかかわらず、です。
ところで肝心のゲームの中身はというと、「スペインはゲーム運びが安定してるなぁ」という印象でした。スペインが地味ーな部分で強さを発揮して、リトアニアは普段のバスケをさせてもらえなかったというところでしょうか。3Q早々にダブルスコア近くまでいってしまい、ゲーム的に大きな盛り上がりがないまま終わったという感じでした。
地味なんですが、アリウープなど時折スーパープレイを見せるあたりがさすが。そういう時ばかりは日本人の観客も盛り上がってましたね。でも、そういうスーパープレイが飛び出してもリプレイを流さないから確認できない。せっかく大きいモニターがあるのに有効活用しないのは、経費削減でしょうか? それではファン無視という気もしますが……。スコアボードも上のほうからだと見づらかったですね。得点だけでももう少し大きく表示してほしかった。
あと、パウ・ガソル(NBAメンフィス)やファン・カルロス・ナバーロ(FCバルセロナ)が良いプレイを見せると「キャー」という黄色い声も。スペインの試合でこれですから、アメリカの試合だったらと思うと怖くなります(爆)。

1試合目が終わった後、半券で再入場ができるということで、売店が物足りなかった僕は一旦外に出ました。ようやく下のスタンドの入場口まで降りてきたところで遭遇したのは、日本代表の東野智弥アシスタントコーチ! とりあえず握手して「阿部ちゃん、頑張ってるみたいですね」「広島、お疲れ様でした」とだけ言葉を交わしました。
そういえば東野さんは、4年前に北九州で行われた車椅子世界選手権(ゴールドカップ)でも日本代表のアシスタントコーチでした。日本開催の世界選手権で2度ともスタッフ入りした唯一の人なのです! そのあたりの話もいずれ聞いてみたいですね。
その後、負けても陽気に騒いでいるリトアニアサポを尻目に、グッズ売店へ。せっかくなので記念になるものを買おうと思ったのですが……バッドばつ丸というマスコットキャラクターが何とも可愛くない。このキャラが入っているグッズを避け、最終的にいろんな理由をこじつけてトルコのTシャツに落ち着きました。ところが、数日後ヒステリアメンバーのS氏(大会ボランティアに参加したそうです)の口から衝撃の一言が!! 「トルコのTシャツ? タダで配ってたよ」……なんでも次回開催国ということでいろいろ配っていたそうです。調査不足でした(泣)。

露店で空腹も満たし、再び場内へ。2試合目はアルゼンチン対トルコです。これまた両チームとも応援団が盛り上がってます。アルゼンチンサポの中には、エマニュエル・ジノビリ(NBAサンアントニオ)のスパーズユニフォームを着ている人も数人。NBAでもスーパースターですが、やはり母国では英雄なんでしょうね。トルコサポの、指定席組と自由席組のやりとりは面白かった。
ゲーム展開は、こちらもまた前半で差がついたため少々まったりムード。トルコは決して悪くなかったと思いますが、いつの間にやらアルゼンチンが大量リードしてました。やはり技術的な面では見応え十分で、アルゼンチンはパスと外角シュートが特に上手い。ジノビリに関しては、緩急のつけ方が見事ですね。常にフルスピードで自爆気味だった五十嵐圭とはえらい違いです。
それと、タイムアウト中に気になったのは、ダンサーについて。わざわざ海外からやってきた(であろう)彼女達、一部を除いてノリの悪い観衆に囲まれ、どんな気持ちで踊っていたのでしょうか? ま、会場にいた外国人は皆「なんでこいつら、こんなにおとなしいんだ?」と思っていたかもしれませんが……。

こうしてこの日の2試合が終了。正直言って、どちらかだけでも接戦になってほしかったなぁという気分だったのは否めません。しかし「世界」というレベルはひしひしどころかビシバシと感じました。それに、40分間一生懸命応援した4チームのサポも、それに応えるべく奮闘し続けたチームの姿勢も素晴らしかった。良いものを見させてもらいました。
上記した以外にも何かと不満や疑問、違和感を感じることが多かった(特に協会幹部に関して)今大会ですが、それらは大体予測できたこと。たった2試合でも世界のバスケを堪能できて、純粋にバスケを楽しむという意味ではこれ以上ない機会でした。皆さんにとっても、何か特別なものを味わった素晴らしい時間であったことを願います。



吉川哲彦(よしかわあきひこ)

1974年生まれ、東京都出身。
中学1年時はバスケ部に在籍したが、転校した先ではバスケ部に入らず。その後、バルセロナ五輪のドリームチームに触発されて大学でバスケ部(体育会系)に入部。3年時の関西リーグ4部準優勝&3部昇格が唯一の自慢というベンチウォーマー。
26歳の時、周囲の勧めもありフリーのスポーツライターに。一番最初の取材対象に新潟アルビレックスを選び、それ以来取材対象はほとんどがバスケ。カテゴリーを選ばず、ありとあらゆる現場に足を運ぶ日々。
「自分の文章が日本のバスケ界を変える一助になれば……」と秘かな野望を抱いている。
2005年、初の著作「オールドルーキー」(共著・阿部理)がHOOP HYSTERIAより刊行される。

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