島本和彦主催[HOOP HYSTERIA]バスケットボールファンクラブ
吉川 哲彦の「だむだむ探検隊」

Legend・歴史の第一歩〔2006.3.5〕

昨年、日本には2つのプロバスケリーグが誕生しました。一つは既にここでも何度も紹介しているbjリーグ。そしてもう一つがストリートリーグ・Legendです。
日を追うごとに市場を拡大し、すっかり市民権を得たストリートカルチャー。その中で、ここ数年ストリートバスケも少しずつ動きを見せてきてはいました。「FAR EAST BALLERS」が先駆けとなり、それに続く人達も現れてきていたのです。代々木公園に作られたコートでは「ALLDAY」というトーナメントゲームも定期的に開催されるようになり、ますますその熱は高まる一方でした。
そこに目をつけたのがヒステリアのメンバーでもある金井真澄氏。地道に、しかし大きな志を抱いて活動する彼らに可能性を感じた氏は、某大手企業を退職し新会社「FROM THE STREET」を設立、プロのストリートリーグを立ち上げました。大変な英断です。
10月末に行われた結成披露パーティーには島本さんや河内敏光bjリーグコミッショナーも駆けつけるなど、バスケ関係者の注目を集めました。
その記念すべき1stシーズンの優勝者が、2月12日のグランドチャンピオンシップで決定。そんなわけで、その2月12日の様子を報告したいと思います。ただ、Legend公式HP(http://www.streetlegend.jp/)に詳しいレポートが既に出ているので、ここでは僕なりの視点で書いてみることにしました。

僕が会場入りしたのは開始10分前でした。その会場というのは、新木場駅からほど近い所にあるライブスペース。ストリートというと野外を想像しますが、Legendは場所を選びません。型にはまらない、固定観念にとらわれないというのが売りというか、Legendらしさというべきでしょうか。
それはともかく、中に入ってビックリしました。予想していたよりも大きい会場だったのに超満員なのです!「これは1000人いってるかも」と思ったら、後で聞いたところやはり1000人入っていたとのこと。前売券が早い段階で売り切れていたので、そんなに大きな会場ではないのかと思っていたのですが……Legend恐るべし。
東京アパッチのホームゲームの時にも有明コロシアム前の野外スペースでリーグ戦が行われていましたが、その時はだいたい50人程度。それでも「思ったより多いし、結構盛り上がってるなぁ」と思ったものですが、グランドチャンピオンシップとはいえ1000人というのは十分な集客力です。 ちなみに、観客席はコートを取り囲むように設定されていて、ボールはもちろんのことルーズボールを追った選手も容赦なく飛び込んできます。それだけに、観客はコートから目を離すわけにはいかないし、しっかり見られているとなればプレイヤーも手抜きはできません。また、お互いを身近に感じることもできるので、これは良いことです。と、思わず断言してしまいます。

ほどなくしてイベント開始。legendには必ずMCがいて、盛んに観衆を煽ります。時には試合中のコートに割って入ることも。この日は2人体制で、トークのかけあいもなかなか面白かったですね。
プレイヤーも負けていません。リーグ推薦ボーラーとして登場したぬま・仮エースの2人は、参加ボーラー紹介時は亀仙人Tシャツ、試合前の入場時は大仏マスクを着用して現れました。他にも福岡土産を観衆に配りだす選手がいたり、見る者を惹きつけるパフォーマンスが良いですね。
肝心のゲームも、見る者を「アッ!」と言わせるプレイが随所に出ました。刺客ボーラーの一休に「大したことない」と挑発されたTANAは、相手のウェアを脱がせて抜き去るというストリートならではのスーパープレイを披露。試合後に「とんちだけだった」というコメントを残し、場内を大いに沸かせました。
こんなパフォーマンス満載でも、Legendはあくまで真剣勝負。青山学院大出身のクリスや日本体育大出身のFUJI(藤田浩二)らは高いスキルを存分に発揮し、その他のプレイヤーも勝負にこだわる姿勢を見せました。敗者復活戦をはじめ、多くのゲームが激戦でした。

ところで、この日僕が一番注目していたのは、準決勝の前に行われたスペシャルエキシビジョンでした。車椅子バスケの安直樹選手(アテネパラリンピック代表)が健常者に混じってプレイするのです。人気漫画「リアル」でそういうシーンがありましたが、その再現というわけです。
前述のぬまと仮エースが在籍する勉族のメンバーをまじえてのゲームでしたが、ピック&ロールから安選手がレイアップを決めた時は場内がどよめきました。安選手の器用な車椅子さばきやボールの扱い方、3ポイントも打てることに驚いた人が多かったようです。車椅子バスケもちょくちょく見ている筆者としては、こういった企画が今後増えていってバスケ界全体が盛り上がってほしいと願うばかりです。

今回のグランドチャンピオンシップはLegendの今後の発展を十分に予感させるものでした。期待の意味も込めて、今回のイベントで気になった点を一つだけ挙げておきます。
それは、休憩時間がないこと。イベント全体の時間が長いのはあらかじめわかっていることですから、どこかで一息入れる時間が必要です。見る側としては喉も渇くし、トイレにも行きたいし、グッズもじっくり選んで買いたいし……となるはずです。それに、疲れてくると見ることに集中できなくなります。立ち見席でも結構な額のお金を取っているのですから、余計にこういう配慮は欠かさないでほしいですね。
bj同様Legendもプロ、ファンあってのリーグです。「ダンクは4点」等の競技ルールもエキサイティングで魅せるバスケを志向していて良いところですが、競技以外の部分についてもお客さんを満足させるリーグであってほしいと思います。

あっと言う間に1stシーズンが終わったLegend、3月11日には早くも2ndシーズンが始まります。通常のリーグ戦は無料で観戦できることが多いので、一度その熱を感じに行ってみてはどうですか?



吉川哲彦(よしかわあきひこ)

1974年生まれ、東京都出身。
中学1年時はバスケ部に在籍したが、転校した先ではバスケ部に入らず。その後、バルセロナ五輪のドリームチームに触発されて大学でバスケ部(体育会系)に入部。3年時の関西リーグ4部準優勝&3部昇格が唯一の自慢というベンチウォーマー。
26歳の時、周囲の勧めもありフリーのスポーツライターに。一番最初の取材対象に新潟アルビレックスを選び、それ以来取材対象はほとんどがバスケ。カテゴリーを選ばず、ありとあらゆる現場に足を運ぶ日々。
「自分の文章が日本のバスケ界を変える一助になれば……」と秘かな野望を抱いている。
2005年、初の著作「オールドルーキー」(共著・阿部理)がHOOP HYSTERIAより刊行される。

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